「階段の上りがきつい」「横断歩道を小走りで渡るとゼーゼーする」という"見かけ健康人"が最近増えてきていると聞きます。特に50才を過ぎた方の場合は、単に加齢から来る体力の衰えということだけではなく、あきらかに運動不足が原因です。運動はここ数年していない、となれば、ちょっとした動きでも息が荒くなります。
そこで道具を揃えるコストがおさえられるうえ、場所の制限がほとんどなく、一人でマイペースで出来る「走り」に注目。マラソンが流行しているというブームにも後押しされて、今回、中高年の編集ライター吉村高廣がチャレンジするスポーツは「ジョギング」です。
早速、下駄箱から運動靴を引っ張り出して、近所の公園を一周してみたと言います。ところが思いのほか走れない。しかも、周回遅れになるほどスピードが遅い。どんどん追い越していく方の足下を見ていると、運動靴ではなく専用のシューズを履いていることに気がつきます。
「初めてジョギングを始められる方の中には、その気軽さから靴に気を配らない方が多いようです」と、エスポートミズノ(東京都千代田区)のフットケアトレーナー市橋さんは話します。当然、ジョギングは足を使うスポーツです。ランニング中は、着地時に体重の数倍の衝撃が足にかかります。「シューズ選びを失敗すると、その衝撃で足を痛めてしまいます」とした上で「まずはクッション性と安定性の二つの面でシューズ選びをしてください」と話を続けます。
ジョギングしたいという早る気持ちを抑えて「まずはランニングのフォームをチェックしましょう」とエスポートF.O.R.M.トレーナーの西岡さんに促されて、ジムなどで良く見かけるランニングマシーンに乗ります。肩、肘、手首、腰、膝、足首の6カ所にはマーカーが取り付けてあります。いわゆるモーションキャプチャーでフォームを3Dで動作解析します。
この動作解析システムはミズノが独自に開発したもので、体験者のフォームを5つの項目で診断します。「初心者としてはレベルが高いですね。しかし腰が落ちていますしお腹が沈んでいます。このままでは股関節、足の筋肉に負担をかけてしまいます。下半身を良いフォームに近づけていけば自然とスムーズな走りができるようになります」と診断結果は、まずまずの合格点。少々気をよくしたのか「マラソン大会に出場できますか?」の問いに「下半身に負担を掛けないようにウェイトコントロールをしましょう」とした上で「足を痛めないためのシューズ選びは慎重に」と改めて靴の重要性を指摘されました。
ジョギングを健康的に楽しみながら長く続けるポイントは、フォームとシューズ選びにつきるようです。逆に言えば、正しくないフォームで適当なシューズ選びをしていると、思わぬケガを負ってしまうことを知っておく必要があると言えます。
では良いジョギングシューズとは。フットケアトレーナー市橋さんによれば「スポーツシューズ専用のフィッターがいる店で選ぶことです。これは基本中の基本」。さらにアスリートも使用するというプリシジョンフィット(足型測定器)で客観的に足裏を診断した上でシューズを決めます。
体重を計るようなイメージで測定器に乗ります。まず足裏がスキャニングされます。土踏まずの形を知ります。脚の形も目視でチェックします。さらにスクワットした時の膝の動きを確認します。体験者の膝は少々、外向きのようです。ジョギングの経験年数などヒアリングされ体験者に選ばれたのは、クッション性が高く足を守る機能がある、安定性を重視したシューズでした。
サイズもベスト、フットケアトレーナーの目利きで選ばれたシューズを履いて「これは凄い。カラダの一部のようにフィットしてます。何よりも走りたくなりますね」とワクワクの声に「紐の結び方をお教えしましょう」と喜びも束の間、プロのアスリートも実践している紐の結び方、紐の止め方、紐の止める位置を教えていただきました。
「足の指先は締める、足の甲は強くしない」。さらに紐を結ぶ際の足首を固定させる位置など丁寧に指導いただき、ジョギング初心者でありながらも、もはやシューズはプロ級の仕様となりました。健康維持、ストレス解消、体力増強、ダイエットなどで始める方が多いジョギングは、まずはシューズ選びからということを知ったチャレンジスポーツでした。
体験を終えて
安易にスタイルやカラーでシューズを決めてはいけないとは言うものの、どうしても店頭では、かっこいいシューズに目が映ってしまいます。実際にフットケアトレーナーが選んだジョギングシューズは、もうまったく別次元の履き心地でした。初心者でさえ、その違いを感じることができました。「制限時間がゆるい大会ならば、コースの風景を楽しみながら走れるようになります」と聞いて「来年は大会に出場します」と宣言してしまいました。(挑戦ライター吉村談)
エスポートミズノから
ジョギングはシューズ選びが全てと言っても過言ではありません。シューズを履いていても、足の指で地面を掴むようなイメージで走ることがポイント。脚、足、足の裏への気遣いが、結果としてジョギングを長続きさせます。紐の結び方ひとつとっても誤った方法で走っている方がいます。ジョギングは楽しいスポーツですので、その最初にミズノまでご来店いただければと思います。
■記事公開日:2016/07/13 ■記事取材日: 2016/06/23 *記事内容は取材当日の情報です
▼編集部=監修・構成 ▼編集部ライター・渡部恒雄=文 ▼渡部恒雄=撮影 ▼編集部ライター・吉村高廣=体験者