働く人の健康ライフ 働く人の健康ライフ

働く人の健康ライフ

坂本勉さん(仮名/57歳/食品メーカー営業職)。商談中、突然意識がぼんやりして。お客さまもビックリ。直後は平常に戻りましたが...


お客さまから指摘されて「失神?」を疑った坂本さん。心配になって病院へ。
検査の結果「循環器系を含め内科的には異常なし」とのこと。そこで、てんかん外来のある脳神経外科を紹介されました。
Q.

ぼんやりしていたのは・・・
1分から2分くらいの
ことだったと思います。

A.

脳波の結果とお客さまとの商談中の状況から、坂本さんは「側頭葉てんかん」かと思われます。てんかんというと子供の頃に発病する病気と思われがちですが、実は、幼児から高齢者までどの年齢層でも発病する可能性があります。
ひと言で「てんかん」と言っても脳のどの範囲で異常な電気発射が起こるかによってさまざまなタイプのものがあります。坂本さんのように側頭葉で電気発射が起これば一時的に意識が途切れたり、無意識に身体の一部が動いているということもあります。
一方、脳内全体で異常な電気発射が起きればひきつけを起こして倒れてしまうこともあります。ちなみに、これまでに似たような経験をされたことはありませんか?

Q.

仕事中はありません。
ただ妻から、聞いてる?
と指摘されたことが度々あります。

A.

それも今回と同じ症状であったと思われます。今回は商談中ということでお客さまには失礼があったかも知れませんが、結果的には良かったと思います。坂本さんはお仕事で自動車を使われるそうですが、もし運転中に同じ発作が起こったら取り返しのつかない事故を起こしていたかも知れません。事実、自動車事故を起こして運ばれてきて、よくよく話を聞いてみると過去にも似たような経験があったという方が少なくありません。ところが「ちょっと疲れているからだろう」と考えて病院に行こうとまでは思わない。大げさに言えば、病気以前にここが運命の分かれ目ともなります。しばらく運転は控えていただかなくてはなりませんね。

Q.

運転をしてはいけないのですか?
それは困ります。
薬で抑えることはできませんか?

A.

お仕事のこともありますので、お気持ちはよく分かりますが「てんかん」と診断がついた以上自動車の運転はできません。とはいっても、この先ずっと運転が禁止されるわけではなく、定期的に通院していただき投薬治療を行い、2年間発作が出なければ運転することは許可されます。近年は、抗てんかん薬を服用することで大部分の患者さんは発作が抑制されて通常の社会生活を支障なく送っています。ですので、しばらくの間はさまざまな意味で不便や不都合を感じることがあると思いますが、まずはしっかりと病気と向き合っていただき、きちんと薬を飲んでいただくことがてんかんを克服する一番の近道なのです。

てんかんについてお話しくださったドクターは、東京医科大学八王子医療センター須永茂樹先生です。
須永先生からのワンポイント・アドバイス
てんかんは、およそ100人に1人にみられる病気です。発病する年齢は3歳以下が最も多く、成人になるにしたがって発病者は減りますが、60歳を超えると動脈硬化による脳血管障害などを原因とするてんかんの発病が再増加します。いわば、乳幼児期から老年期まで幅広くみられる病気であるにもかかわらず、これといった予防対策がありません。
むしろ、てんかんと診断された方へアドバイスをするなら、第一に薬を欠かさず飲むこと、第二に不規則な生活を慎むことの2つです。これまで普通の生活を送ってきた方にはどちらもハードルの高いことかと思いますが、てんかん故の不便を考えればきっと守れるはずです。
・東京医科大学八王子医療センター ・・・
http://hachioji.tokyo-med.ac.jp/
・東京医科大学八王子医療センター 脳神経外科・・・
http://www.hachioji.tokyo-med.neurosurg.jp/

・監修:東京医科大学八王子医療センター 脳神経外科・・・
http://www.hachioji.tokyo-med.neurosurg.jp/

*記事内のご相談者はコンテンツ表現上でご出演いただいております。ご相談者の実際の病気、症例とは異なります。
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■記事公開日:2016/02/25
▼編集部=構成 ▼編集部ライター・吉村高廣=文 ▼田尻光久=撮影 ▼伊東ぢゅん子=相談者イラスト

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