よく歯周病予防は歯磨きが大切だといいますよね。
歯磨きだけは毎日しっかりしていたつもりなんです。
今のところ虫歯もありませんし。
なのになぜ歯周病になるんでしょう?
歯周病は徐々に進行していく慢性疾患なので、なかなか自覚症状がでにくいんです。したがって斎藤さんの場合も、実は以前から歯周病になる因子があって少しずつ進行してきたということがいえます。もちろん歯磨きをこまめにするのは歯周病予防にはとても良い習慣です。でも大事なことは、ただ磨くのではなく正しく磨くことです。つまり歯周病の予兆が見られるということは、正しい歯磨きができておらず汚れを落とせていなかったということです。そうした方は案外多いのです。
日中は何ともないんですけど、
夕方になって疲れてくると
歯茎が腫れて痛みだすのはどういうことなんでしょう?
加齢に伴う免疫力の低下が一因と考えられます。歯周病は歯の汚れを温床とした細菌によって組織が破壊されることで発症します。若いうちはリカバーする力の方が高いので症状は現れにくいのですが、斎藤さんは50歳を過ぎたころからなんとなく歯茎が気になり始めたとおっしゃいました。写真を見る限りでは、もう少し前から歯周病は進行していたように思えますが、それまでは免疫力が働いて、一日の疲れが出始める夕方も細菌の働きを抑え込めていたのでしょう。ところが50歳を過ぎた頃から免疫力が衰えてきて、疲労と共に症状が現れるようになったと思われます。
このままでは仕事に悪影響を及ぼしますし
早く治したいというのが率直なところです。
歯周病を直す特効薬のようなものはありませんか?
ここ数年前から歯周病によく効く抗生物質があって、それを飲むことで症状が劇的に改善されたという症例も出ています。ただそれは根本的な治療になるわけではなく、薬の効きめが切れてくれば復活します。またこうした薬に頼り始めると、歯磨きなどの日常的なケアを疎かにしがちなって、結果、薬が切れた時の進行を早めてしまうということにもなりかねません。したがって、歯科医としてはあまり推奨できるものではありません。