働く人の健康ライフ 働く人の健康ライフ

働く人の健康ライフ

ご相談者:熊谷由伸さん(仮名)/56歳/ITコンサルティング会社経営
今回お話しくださったドクター:東京医科大学八王子医療センター 眼科・科長 教授 志村雅彦先生です。


眼鏡をかけはじめた熊谷さん。それでも見えにくさが改善されないといいます。

50歳を過ぎても眼鏡の必要性を感じていなかった熊谷さん。ところがここのところ「どうも小さな文字が見えにくい」ということで、いよいよ老眼鏡のお世話に。にも関わらず、見えにくさは一向に改善されません。しかたなく眼科に足を運び検査を終えたところ、先生の顔がどうもあまり冴えません...。
Q.

やっぱり眼鏡が合っていないんでしょうか?
いまひとつピントが合わないんです。
目の使いすぎだと思うんですが。少し頭痛もするんです。

A.

まず頭痛については「目の使いすぎ」ということはありません。そもそも「目の使いすぎ」という表現自体に誤りがあります。実のところ、使いすぎているのは目から入ってきた情報を分析したり理解しようとする頭であって、疲れているのは頭です。したがって眼科医としては、日ごろから仕事がお忙しい熊谷さんの今の頭痛については「少しお休みください」としか言いようがありません。むしろ問題なのは、眼鏡をかけてもピントが合わないという方です。

Q.

眼鏡の問題じゃないんですか?
これまで眼鏡をかけてこなかったので、
ピントが合いにくいのかと思っていました。

A.

眼鏡のせいではありません。熊谷さんは糖尿病網膜症という病気の初期症状が見られます。一般的に糖尿病は50代で発症される方が多く、目の障害はその合併症の1つです。目というのは網膜で光を受けているわけですが、網膜の細胞を養うためには血管が健全でなくてはなりません。ところが糖尿病を発症すると、人によっては目の細い血管が詰まったり破けるなどして障害が現れます。熊谷さんの見えにくさの原因は、まさしくその初期症状によるものです。

Q.

糖尿病ですか?でも普通は血液検査などをしますよね。
目の検査だけじゃなくて、きちんと血液検査をしたほうがよい、
ということでしょうか?

A.

おっしゃる通り、血液検査などで糖尿病やその他の成人病は発覚するケースが多いのは事実です。しかしながら、目というのは体の中で唯一血管の状態を視認できる部分なのです。事実、熊谷さんの網膜を撮影したところ小さな出血が確認できました。これは明らかに糖尿病網膜症に一致する症状です。ただ、幸いにして早めに確認ができたので失明という最悪のケースには至りません。糖尿病に対するケアをしっかり行い、眼科的な治療を行うことで日常生活の大きな影響を及ぼすことはありません。

糖尿病は血糖が災いする病気です。自分は高血糖など関係ないと思っていた方が、急に目が見えにくくなって検査したところ、目に出血が認められ糖尿病を発見されるケースが非常に多くなっています。特に、40代、50代の働き盛りの方にそうした傾向が多く見受けられます。そこで困るのは、片方の目が見えにくくなり「老眼だろう」と放っておいたところ、もう片方の目も見えにくくなってようやく眼科にやってきた時は、最初に見えにくくなった方の目はもう治しようがないというケースです。後天的な失明要因で2番目に多いのが糖尿病によるものでもあり、見えにくさを単に老眼のせいにするのは非常に危険です。
志村先生からのワンポイント・アドバイス
眼鏡をかけても見えにくさが改善されない場合は、必ず眼科で検査を受けることをお勧めします。目から見えてくる病は糖尿病ばかりでなく、緑内障や加齢黄斑変性症、動脈硬化など、手遅れになると働き盛りの方にとって致命傷ともなり得るさまざまなものがあります。
・東京医科大学八王子医療センター ・・・
http://hachioji.tokyo-med.ac.jp/
・東京医科大学八王子医療センター 眼科・・・
http://hachioji.tokyo-med.ac.jp/division/d21.html

・監修:東京医科大学八王子医療センター 脳神経外科・・・
http://www.hachioji.tokyo-med.neurosurg.jp/

*記事内のご相談者はコンテンツ表現上でご出演いただいております。ご相談者の実際の病気、症例とは異なります。
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■記事公開日:2014/11/10
▼編集部=構成 ▼編集部ライター・吉村高廣=文 ▼編集部・渡部恒雄=撮影

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