働く人の健康ライフ 働く人の健康ライフ

働く人の健康ライフ

小山信二さん(仮名/54歳/建築設計事務所勤務)。左手にしびれを感じてネットで調べたところ、脳卒中の予兆に似ています。かなり心配なんですが


ここ最近、左手のしびれが気になっている小山さん。会社の同僚や奥さまの勧めもあって脳神経外科で検査を受けました。
Q.

仕事柄、ほぼ一日中パソコンに
向かっています。ひどい肩こりですが、
しびれがあるので不安です。

A.

実は、同じような悩みと不安を抱えて来院される方は少なくありません。結果から申し上げれば、小山さんは脳卒中の心配はありませんので安心してください。原因はおそらく頸椎にあるものと考えられます。頸椎に何らかの障害がある場合は、小山さんのように片方の手の親指と人差し指だけ、あるいは小指と薬指だけとか症状が出る病域はある程度決まっており、治療も脊椎外科の領域になります。逆に大きな範囲であれば脳の方を疑うべきです。たとえば、片方の手と足全体がしびれたり、どちらかの半身が広い範囲にしびれが現れるような場合は明らかに脳の危険信号と考えていいでしょう。

Q.

安心しました。ちなみに、
脳卒中の予兆は、しびれ以外に
どのようなものがあるのでしょう。

A.

マヒが一時的に出てしばらくして元に戻る一過性脳虚血や、言葉が一時的に出なくなる失語症、視界の片方が見えなくなる視野欠損などの症状が突然現れた場合は、おそらく何らかの障害が脳に現れているものと考えられます。すぐに脳神経外科の診断を仰ぐことが大事です。 検査の結果、それが脳梗塞であれば即座に治療を行なわなければなりません。現在の治療方法は、薬で血栓を溶解するtPA治療が有効とされています。ただしこれは予兆が現れて24時間半のうちに投薬が条件となっています。また最近では、血管内カテーテル治療などの技術も進歩していますが、いずれにしても時間との競争で、予兆が現れてから早く対処できてこそ病気の進行を食い止めることができます。

Q.

やはり脳卒中も遺伝なのでしょうか?
それとも後発的な危険因子が
あるのでしょうか?

A.

後発的な危険因子と考えて良いでしょう。つまり脳卒中も悪しき生活習慣の積み重ねによって発症するケースがほとんどです。その最たるものが喫煙です。その他に高血圧や高脂血症、あとは糖尿病などにならないような生活を心がけることも必要です。もちろん運動も大切ですが、働き盛りの方が積極的に運動するのは難しいでしょう。したがって、普段からできるだけエレベーターは使わず階段を昇るとか、なるだけ歩くよう努めてください。ただ残念ながら、こうしたアドバイスをしても、それをきちんと実行できる方が少ないのが現実です。今挙げた危険因子は脳卒中に限らずほとんどの病気の原因となります。つまり脳卒中を予防することはあらゆる病気の予防になることを心していただきたいと思います。

脳卒中についてお話しくださったドクターは、東京医科大学八王子医療センター 脳神経外科科長 神保洋之先生です。
神保先生からのワンポイント・アドバイス
しびれやマヒなど、普段とちょっと違う症状が現れた時は「このくらい大丈夫だろう」と放置したまま頑張り過ぎることが最も危険です。完全な病気を発症してしまえば、そこからの治療はごく短い時間内に行わなければならず後遺症のリスクが大きくなります。そうなる前に「いつもと違うな」と自覚した時は、どれだけ忙しくても時間をつくって脳神経外科を受診することをお勧めします。
また何らかの予兆が見られなかったとしても、一度脳ドックを受けることをお勧めします。脳ドックは保険適用外で費用も若干高くなりますが、50歳代というのはまだまだ働き盛りでもあり、その一方で体のいろいろな部分にトラブルが起こり始める年代です。しかし、頭の中の健康状態は一般的な健康診断では分かりません。これから先のことを考えるならば、まずは現在の自分の体の状態を把握することが大切です。そうした意味でも50歳代というのは脳ドックを受けるちょうど良いタイミングだと思います。
・東京医科大学八王子医療センター ・・・
http://hachioji.tokyo-med.ac.jp/
・東京医科大学八王子医療センター 脳神経外科・・・
http://www.hachioji.tokyo-med.neurosurg.jp/

・監修:東京医科大学八王子医療センター 脳神経外科・・・
http://www.hachioji.tokyo-med.neurosurg.jp/

*記事内のご相談者はコンテンツ表現上でご出演いただいております。ご相談者の実際の病気、症例とは異なります。
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■記事公開日:2015/07/18
▼編集部=構成 ▼編集部ライター・吉村高廣=文 ▼編集部・渡部恒雄=撮影 ▼伊東ぢゅん子=相談者イラスト

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