仕事柄、ほぼ一日中パソコンに
向かっています。ひどい肩こりですが、
しびれがあるので不安です。
実は、同じような悩みと不安を抱えて来院される方は少なくありません。結果から申し上げれば、小山さんは脳卒中の心配はありませんので安心してください。原因はおそらく頸椎にあるものと考えられます。頸椎に何らかの障害がある場合は、小山さんのように片方の手の親指と人差し指だけ、あるいは小指と薬指だけとか症状が出る病域はある程度決まっており、治療も脊椎外科の領域になります。逆に大きな範囲であれば脳の方を疑うべきです。たとえば、片方の手と足全体がしびれたり、どちらかの半身が広い範囲にしびれが現れるような場合は明らかに脳の危険信号と考えていいでしょう。
安心しました。ちなみに、
脳卒中の予兆は、しびれ以外に
どのようなものがあるのでしょう。
マヒが一時的に出てしばらくして元に戻る一過性脳虚血や、言葉が一時的に出なくなる失語症、視界の片方が見えなくなる視野欠損などの症状が突然現れた場合は、おそらく何らかの障害が脳に現れているものと考えられます。すぐに脳神経外科の診断を仰ぐことが大事です。 検査の結果、それが脳梗塞であれば即座に治療を行なわなければなりません。現在の治療方法は、薬で血栓を溶解するtPA治療が有効とされています。ただしこれは予兆が現れて24時間半のうちに投薬が条件となっています。また最近では、血管内カテーテル治療などの技術も進歩していますが、いずれにしても時間との競争で、予兆が現れてから早く対処できてこそ病気の進行を食い止めることができます。
やはり脳卒中も遺伝なのでしょうか?
それとも後発的な危険因子が
あるのでしょうか?
後発的な危険因子と考えて良いでしょう。つまり脳卒中も悪しき生活習慣の積み重ねによって発症するケースがほとんどです。その最たるものが喫煙です。その他に高血圧や高脂血症、あとは糖尿病などにならないような生活を心がけることも必要です。もちろん運動も大切ですが、働き盛りの方が積極的に運動するのは難しいでしょう。したがって、普段からできるだけエレベーターは使わず階段を昇るとか、なるだけ歩くよう努めてください。ただ残念ながら、こうしたアドバイスをしても、それをきちんと実行できる方が少ないのが現実です。今挙げた危険因子は脳卒中に限らずほとんどの病気の原因となります。つまり脳卒中を予防することはあらゆる病気の予防になることを心していただきたいと思います。