この1年ほどは朝まで
熟睡できることがありません。
必ず1度は尿意で目覚めるんです。
働き盛りの方にとってそれはお辛いですよね。50歳を過ぎてくれば明け方に1度くらいはおトイレに立つ方も少なくありませんが、2度3度となると、やはり前立腺に何らかの問題があると考えられます。
宮崎さんは前立腺癌の可能性をご心配されているということですので、まずPSA検査を行いましょう。PSAは、主に前立腺から血液中に分泌されるタンパク質の一種です。50代の方なら分泌量3ng/mL〜4ng/mL以下が標準値とされていますが、前立腺に問題があれば分泌量は多くなります。前立腺癌では高めに出やすいことから初期検査に使います。今日は血液を採りますので1週間後にまたいらしてください。
検査結果を考えると
仕事も手につきませんでした。
今日は覚悟を決めて来ました。
ますます眠れなくなってしまいましたね(笑)。でもご安心ください。検査の結果、宮崎さんのPSAは3.2ng/mL。今のところ前立腺癌の心配はないと考えて良いでしょう。しかし気をつけていただきたいのは食生活です。宮崎さんはファストフードなども好んで食べるということでしたが、欧米型の食生活を続けていると前立腺癌を発症する危険性も高くなります。事実、今回の血液検査では中性脂肪や血糖値に高い数値が認められています。今の症状は前立腺肥大症に過活動膀胱も合併していると考えられますが、その原因もおそらく食生活の偏りが影響しているものと考えられます。
過活動膀胱は、
テレビで宣伝していますね。
女性の病気じゃないんですか?
過活動膀胱は中高年の女性によくみられますが、もちろん男性にも起こります。初期の前立腺肥大症は1回以上の夜間頻尿から始まることが多いです。これに加えて宮崎さんは、日中でも急に尿意が起こる場合があるとおっしゃいました。こうした尿意切迫感があり頻尿を伴う症状が過活動膀胱の特徴です。過活動膀胱の場合、まだ膀胱に十分尿が貯まっていないのに膀胱が勝手に収縮してしまうので、すぐに排尿したくなってトイレに行く、つまり頻尿になるわけです。そしてまた、前立腺肥大症の患者さんの50〜70%が過活動膀胱を合併すると言われています。これらの症状はお薬によって軽減されるはずですので、しばらく様子を見てください。