夜なかなか眠れません。原因はなに?
不眠の原因は人それぞれです。十把一絡げにしてお答えすることはできませんが、睡眠環境の問題以外におおまかに分けて次の3つの"不眠タイプ"が考えられます。
1.自律神経のバランスが崩れている
2.日中のハードワークで脳の興奮が収まらない
3.メンタルの問題で悩みや不安を必要以上に考え過ぎてしまう
これら3タイプの共通点は、就寝時に"交感神経優位"の状態にあること。これが不眠の主要因といって良いでしょう。
皆さんも、交感神経と副交感神経という言葉は聞いたことがあると思います。その状態を簡単に説明しますと、交感神経優位のときは気持ちが昂って脳が興奮状態にあります。一方、副交感神経優位のときは脳や体が緩みリラックスした状態です。
「寝なきゃ」と思うほど眠れません...
「早く眠りたい」「いい加減寝なきゃ」...そう思えば思うほど頭が冴えて眠れなくなっていく。こうした悩みは非常に多くの方が抱えています。そこでまず申し上げたいのは「ベッドに入ったら寝なきゃいけない」という睡眠に対する義務意識を捨てていただきたいということです。
寝なきゃいけない。こう考えるときの心理状態は、寝ることがmustな条件になっています。つまり「~しなくてはならない」というネガティブな感情(強迫観念)を自分から募らせているようなもの。これではいつまでたっても頭も体も眠くなってくれません。「寝なきゃ」ではなく、自然と「寝たい」と思えるようになること。これが快眠の大前提です。
もしその理由がメンタル面に起因しているのなら、ベッドを抜け出てリビングで眠くなるまでさんざん悩んでください。少し荒治療ですが、現役のビジネスパーソンならそうした"認知行動療法"も有効です。
ただし、ここでお酒に頼るのはNGです。
睡眠不足が仕事に与える影響は?
ちなみに、その人のベストな睡眠時間が8時間だったとしましょう。ところが仕事が忙しくて、毎日6時間しか睡眠がとれない日が2週間続いたとします。すると2週間後の脳は、2日徹夜したときと同じ状態になっています。わずか2週間なので、それほどの自覚はありませんが、"睡眠負債(睡眠不足)"は確実に蓄積されています。
ある大学の研究結果によると、この場合の作業効率は40%もダウンするといいます。40%というと飲酒運転と同じレベル。2週間前と同じ作業をしていても、1時間でできていたことが1時間半かかる。当然ながら小さなミスを頻発して非常に無駄です。
多忙や不眠などの理由から睡眠負債が溜まっている人は、休日にいつもよりも長めに寝て(長くても2時間まで)1回起きる。そこから普通に行動して、昼寝を20分~90分くらいとることをお勧めします。こうしたリセットをしないと睡眠負債がどんどんたまっていき、知らず知らずのうちに仕事の生産性は下降線をたどり、どこかで大きなミスをし兼ねません。睡眠負債は2週間以上ためないことが鉄則です。
何時間眠ればいいのでしょう?
カウンセリングをしていて一番多い質問です。「ベストな睡眠時間は人によって異なります」が回答です。統計的な数字でいえば、7時間から8時間くらいということになるでしょう。しかし、働き盛りのビジネスパーソンにそれを求めてもリアリティがありません。長さよりむしろ先に着目すべきは"睡眠の質"です。とはいえ、短眠者以外の人は、最低でも5~6時間以上確保しないと心身の健康被害につながる可能性があります。
睡眠効果のダイナミズムをかいつまんで説明しますと、入眠後、深く寝入ってからの3時間をしっかり眠れれば、頭も体も十分な休息をとれることが立証されています。ならば「3時間以降の睡眠は不要なのか」、ここは専門家の間でも意見が分かれるところです。そこで、睡眠時間や眠りの質を考える上で指標となるのは、"日中のパフォーマンス善し悪し"と考えて良いでしょう。
日中職場で、あくびばかり出て仕事がはかどらない。簡単なミスを繰り返す。こうした支障が顕在化しているのなら、その人に必要な睡眠時間が足りていないのでしょうし、眠りの質にもきっと問題があるはず。原因究明と改善策が必要です。ただし、日中元気に仕事に取り組めているようなら、3時間でも4時間でもかまいません。事実、日本人の約2%がショートスリーパーといわれています。いつも元気な明石家さんまさんなどがその代表格として有名です。
不眠を脱出し仕事力を上げる対策はありますか?