森永製菓株式会社は、社員一人ひとりの声を生かしながら、より良い働き方や職場環境の実現に取り組んでいます。125年以上の長い歴史を持つ企業でありながら、現場の視点を大切にする姿勢は同社の大きな特徴のひとつです。2025年10月に実施された中四国支店のオフィス移転(大同生命広島ビル)では、若手社員もプロジェクトに参画し、「どのようなオフィスが働きやすいか」「どんな空間なら人がつながりやすいのか」といった視点から検討が進められました。完成した新オフィスは、フリーアドレスを軸に、多様なコミュニケーションと集中を両立する空間として生まれ変わっています。取材当日は営業部の辻岡綾菜さんにご案内いただき、新しいオフィスづくりに携わった経験や、実際に働く中で感じている変化についてお聞きしました。

1.Free Address Area
執務エリアにはフリーアドレスを採用し、固定席に縛られない柔軟な働き方を可能にしています。チームや部署単位で固まるのではなく、日々異なるメンバーが同じ空間を共有することで、偶発的な会話や部門を越えた交流が生まれやすい環境を整えました。
業務内容やその日の気分に応じて席を選べることは、社員一人ひとりの主体性を高めると同時に、新しい視点やアイデアが行き交う土壌づくりにもつながっています。会社全体をひとつのチームとして捉え「開かれたワークスタイル」を象徴する"工夫のカタチ"が、そこかしこに見受けられました。
2.Café Area
執務エリアと「付かず離れずの距離感」を意識して設けられたカフェエリアは、エリア全体にほどよい余白を与えてコミュニケーションを活性化させています。
完全に仕事から切り離された空間ではなく、ゆるやかなパーテーション(パーソナルロッカー)を置くことで、執務エリアとは一線を画しつつも視線や気配を感じられる設計に。リラックスしながらも職場としての緊張感を保てる点が特長です。
昼休憩やちょっとした気分転換の場としてだけでなく、アイデア出しや軽い相談の場としても活用され、日常の業務に自然なリズムを生み出しています。
3.Casual Meeting Area
気軽な打ち合わせや短時間の相談に対応できるよう、ファミレス席を設けました。従来のように会議室を予約して移動する必要がなく、「少し話そうか」というタイミングでそのまま腰を下ろせる手軽さが、このエリアならではの大きな魅力です。
進捗状況の確認や意見交換など、フォーマルすぎないコミュニケーションに適した場として活用されており、情報共有のスピード向上や意思決定の迅速化にも貢献しています。日常的な対話が自然に生まれることで、組織全体の風通しを良くする役割も担っています。
4.Window Counter Area
窓際には、景色を楽しみながら一人で集中して作業に向き合えるカウンター席を配置しました。広島城を望む眺望が広がるこの場所は、落ち着いた環境の中で黙々と業務に取り組める点が特長で、企画書や提案書の作成など、思考を深めたい場面では作業効率や発想力が高まることも少なくないそうです。
また、仕事の合間に気分転換やリフレッシュを図る場としても活用されており、オンとオフの切り替えを自然に促してくれます。フリーアドレスならではの「働く場所を選ぶ自由」を象徴するエリアとして、社員の多様な働き方を支えています。
5.Open Collaboration Area
執務エリアの中心には、楕円形の「通称・おまめテーブル」を配置したコラボレーションエリアを設けました。角のないやわらかなフォルムの「おまめテーブル」は、どの位置からでも自然に会話へ参加しやすく、人が集まりやすい"ほのぼのとした空間"を生み出しています。
このエリアは、単なるワークスペースにとどまらず、オフィス全体の雰囲気を和らげ、社員のオフィスへの愛着を高める役割も担っています。何気ないやり取りが日常的に交差するこの場所は、組織の一体感を育むハブとして確かな機能を果たしています。
6.Focus Area
「オープンで顔が見えるオフィス」を基本コンセプトとしながらも、「一人でじっくり考えたい時間」を尊重するため、集中ブースを設けました。周囲の音や視線を適度に遮ることで、Webミーティングや資料作成、企画立案など、高い集中力が求められる業務にも落ち着いて取り組むことができます。
また、心理的な安心感を得られる点も大きな特長です。オープンな執務エリアと集中ブースを併設することで、コミュニケーションの活性化と業務効率の向上、その両立を実現させた柔軟性の高いオフィスとなっています。

入社1年目にしてオフィス移転のキーパーソンに
森永製菓株式会社 中四国支店 営業部 辻岡 綾菜さま
若手の声から始まった中四国支店のオフィス刷新
普段は営業として、担当企業の商談資料や見積もり作成、顧客まわりなどをしていますが、今回の移転にあって「どのようなオフィスにするか」を考える機会をいただきました。
オフィス家具のセレクトやレイアウト、内装に至るまで、若手3人(入社1年目が2人、2年目が1人)と支店長を含めた4人で検討しました。
オフィス移転のみならず、仕事全般において若手の意見を最初から反映させてもらえる機会はなかなかありません。「主体的に動いてほしい」という支店長の言葉通り、考えるところから任せていただけたことで、仕事に対する視点や責任感も変わりました。このプロジェクト自体が、私自身の成長につながったと感じています。
フリーアドレスが生んだ近距離コミュニケーション
オフィスづくりの中で最も大きなポイントだったのが完全フリーアドレス制の導入です。移転前のオフィスもフリーアドレスの要素はありましたが、基本的には固定席があって、そのほかに「一部自由に使えるスペースがある」という形態でした。それが今回の移転に際して、「もっと自由に、人と人がつながれる空間にしたい」という思いをベースに、働き方の改革がおこなわれた次第です。
その結果、今は、話したい人の近くに座ったり、その日の気分や仕事内容に合わせて場所を変えたりできるようになりました。以前は、目上の方に若手から声をかけることに少し遠慮や緊張がありましたが、隣に座るだけで自然と会話が生まれるようになりました。これまで席が離れていて関わる機会が少なかった方とも気軽に話せるようになり、質問や相談のハードルが下がりました。その結果、営業活動そのものもスムーズになり、「環境が変わることで仕事の進め方も変わる」という実感を持っています。
「働く」と「くつろぐ」を分けすぎない空間づくり
オフィスづくりで意識したもうひとつのポイントは、「働く場所」と「くつろぐ場所」を分けすぎないことでした。以前は執務エリアと休憩エリアが完全に分かれていましたが、新オフィスではカフェエリアを設け、仕事と休憩の間に自然なグラデーションをつくりました。
仕事をしながらコーヒーを飲んだり、昼食をとりながら会話をしたりする中で、堅苦しくない雰囲気のまま相談ができるようになったと思います。ちょっとした雑談から仕事のヒントが生まれることもあり、結果的に柔軟な働き方につながっています。
一方で、集中したい時のための個室ブースも用意して、一人で黙々と作業したい時など用途に応じて場所を選べるようにしています。さらに、会議室を使うほどではない打ち合わせ用にオフィス内にファミレス席を設けて簡単な相談や進捗確認が気軽にできるようにしています。
オフィスは成長と助け合いが生まれる場所
オフィスは、ただ仕事をするためだけの場所ではなく、自分の考えを最大限発揮し、いろいろな人の意見を受け取れる場所だと思います。
営業は個人の仕事のように見えますが、実際には互いにカバーし合い、助け合う場面が多くあります。今回のオフィスづくりに深く関わったことで、「助け合い」が生まれやすい環境をつくることの大切さを、身をもって実感しました。忙しい時には大変さもありましたが、それ以上に、自分たちで考え、形にしていく過程は楽しく、やりがいのある経験でした。
オンラインでも仕事はできますが、対面で顔を合わせて相談し、助け合うことで、結果的に仕事の効率や生産性も高まると感じています。このオフィスは、私にとって「働く場所」であると同時に、自分自身が成長できる場所になっています。