株式会社BSCは、1989年に設立された独立系のシステム開発企業です。産業・流通・金融・公共・医薬・教育など幅広い分野で、システム設計から開発・運用までを一貫して提供してきました。2022年にはBBS(ビジネスブレイン太田昭和)グループとの連携を強化し、DX推進やクラウド活用といった付加価値の高いITサービスにも注力しています。
そして今年8月、BSCは大阪市北区、四つ橋筋に面した堂島エリアのランドマーク「堂島アバンザ」へ本社を移転しました。再生可能エネルギーによって電力を賄う同ビルは、環境配慮を重視する企業姿勢とも親和性が高く、新たなスタートを切る拠点としてふさわしい舞台と言えます。持続可能な社会への意識をオフィス選定にも反映させることで"選ばれるDXパートナー"を目指すBSCの方向性が一段と鮮明になりました。今回は、その新オフィスを代表取締役社長・近藤徹氏にご案内いただきました。

●執務エリア
BSCの執務エリアは、フリーアドレスを導入していながらも奇抜なデザインを避け、整然とした長方形のレイアウトが特徴です。一見すると今どきのオフィスに比べて地味に見えるかもしれませんが、規則的な配置には明確な狙いがあります。
約800㎡の中に必要な機能を無理なく収め、社員がゆとりをもって働けるスペースを確保するには、動線の無駄をなくし、デスクを最も効率的に配置することが欠かせません。装飾性を優先したレイアウトではデッドスペースが生まれやすく、使い勝手が損なわれる可能性があるため、BSCでは見た目の派手さよりも"働きやすさを最大化する"という方針を打ち立て、スペース効率と快適性を両立できる現在のレイアウトが最適解であると判断しました。
●フリースペース・ファミレスタイプ席
執務エリア内の中央にフリースペース(インフォーマルなミーティングエリア)を設けることで、オフィス空間に"余白"をつくり、社員が気軽に会話を交わす環境づくりがおこなわれています。仕切りはあるものの、ワークスペースと一体感が感じられるこのスペースは、必要なときにすぐ打ち合わせができるだけでなく偶発的なアイデアを引き出す狙いもあるそうです。
BSCでは社外に常駐している社員(SE)も多く、帰社した際のコミュニケーション機会の創出も意図しているそうです。さらに近年のオフィストレンドでもある使い勝手自由なファミレスタイプ席を窓際のエリアに配置。限られたスペースを有効活用して、より快適なオフィス空間の創出に努めています。
●マグネットスペース(デジタルサイネージ)
ひと息つきたいときにふらりと足が向き、気づけば人が集まっている。そんな"引き寄せられる"場として設計されたのがマグネットスペースです。
ハイカウンターやコーヒーメーカーを配置し、仕事の合間に立ち寄るだけで自然と会話が生まれるよう工夫されています。オフィス内に仕事以外の目的で気軽に立ち寄れる場所があることで気分転換がしやすくなり、ストレスも軽減されます。
また、スペースの一角にはデジタルサイネージを設置し、従来の掲示板では伝えきれなかった情報をタイムリーかつ印象的に共有できるようにしました。機能もデザインも両立させながら、働く人の心と動きをやさしく刺激することを目的とした空間です。
●会議室・WEBブース
BSCの新オフィスでは、システム設計・開発という業務特性から、外部に漏らせない情報を扱う会議が日常的に発生します。そのため、18人用の大会議室を1室、8人用を4室、6人用を3室と、計8つの会議室を備え、どの規模の打ち合わせにも対応できる構成になっています。いずれの部屋にも大画面モニターを設置し、複雑な設計図面の共有や複数社とのオンライン会議でもストレスなく進行できるよう配慮されています。
また、個々の業務にもオンラインコミュニケーションが浸透した今、社員が「集中して話したい」と思ったときにすぐ利用できるよう、完全個室のWEBブースを3室設置しました。会議室を占有せずとも気兼ねなく接続できるこの小空間は、リモートワーク時代の"当たり前のインフラ"として、業務効率を目に見えない形で大きく支えています。
こうした会議室やWEBブースの充実は、単に設備を増やしたという以上に、「ミーティングの質=仕事の質」と捉えるBSCの姿勢そのもの。情報セキュリティ、集中できる環境、オンラインとの親和性。それらのすべてを叶えるために、会議環境がオフィスの中心的な存在として丁寧にデザインされています。
●窓際オープン席
窓際オープン席は、自然光に包まれながら仕事ができる特等席です。外の景色が視界に広がることで心がほどよくほぐれ、ふとアイデアが生まれたり、思考がすっと整理されたりと、働くリズムを心地よく整えてくれます。BSCではこの席を4つ設け、集中したいとき・気分を変えたいときに誰でもふらりと利用できるようにしました。フリーアドレスがもたらす"働く場所を自分で選ぶ自由"を象徴するエリアであり、開放的な景観と柔軟な働き方の両方を体現する、オフィスの中でも特に人気の高いスペースです。
●リフレッシュスペース
執務エリアの一角にリフレッシュスペースを設けています。食事をとったり、温かい飲み物でひと息ついたりと、気軽にリセットできる休憩室として利用される一方、体調が優れないときにはカーテンで仕切って横になれる配慮も備えました。
働く人のペースに寄り添い"無理をしないでいられる場所"としての安心感を大切にしたスペースです。

変化を力に。社員が「出社したくなる」オフィスを目指して
株式会社BSC 代表取締役社長 近藤 徹さま
■環境を変え、発想を変える■
当社は1989年の創業以来、昨年で35周年を迎えました。前オフィスには18年間拠点を置き、その間、リーマンショックや東日本大震災、そしてコロナ禍といった幾多の困難を乗り越えてまいりました。
業績の向上に伴い組織も拡大する中で、オフィスは次第に手狭となり、加えて最寄り駅からの距離もあったことから、社員・お客さま双方にとって利便性の面で課題が生じていました。こうした環境の変化を機に、私たちは「これからの働き方」を見つめ直しました。
今回の移転の最大の目的は、単なる職場環境の刷新ではなく「社員のマインドセットを変えること」にあります。長年同じ空間で働いていると、どうしても発想や行動が固定化しがちになりますが、新しい環境へ移ることは、そうした惰性をリセットし、一人ひとりが新鮮な気持ちで仕事に向き合う大きな契機になると考えています。また、『健康経営』の取り組みを本格化させる中で、心身ともに健やかに働ける環境を整えることも重要なテーマとしました。社員が"出社したくなるオフィス"をつくること。それこそが、今回の移転に込めた最も大きな思いです。
■健康経営の視点を生かしたオフィス■
新オフィスの選定にあたって、最も重視したのは「駅近の立地」でした。以前のオフィスは地下鉄駅から徒歩10分以上を要し、お客さまにもご不便をおかけしていました。その点、新オフィスは地下通路で駅と直結しており、雨に濡れることなく来社・出社できる点が大きな魅力です。
こうした立地の改善は、単なる利便性の向上にとどまりません。通勤時間や移動時の負担を軽減することは、社員のストレスを抑え、結果として、生産性や働く意欲の向上にもつながると考えています。
職場環境への関心が高まる昨今、「社員を大切にする会社」という印象は、優秀な人材を惹きつける重要なファクターになるはずです。もちろん、オフィス内の設計においても健康経営の視点を重視しています。デスクやチェアを新調し、デスクワーク時の姿勢や集中力への配慮を徹底。このほか、リフレッシュルームを新設して社員が気軽にリセットできる空間を設けました。こうした環境整備によって、働きやすさだけでなく健康とモチベーションの両立を実現しています。
■集中と交流の両立で新たな価値が生まれる■
より自由で効率的な働き方を実現するためフリーアドレス制を導入しました。プロジェクトによってはメンバー同士が離れて座ることでコミュニケーションが取りづらくなる場面も発生するため、各チームの状況に応じて柔軟に運用しています。そのため、オフィス設計においては「人が集まりやすく、話しやすい空間づくり」を重視しました。
前オフィスよりも会議室を増やし、執務エリアにも気軽に打ち合わせができるフリースペースを設けています。さらに対面型のファミレスタイプ席を設けるなど、多様なコミュニケーション環境を整えました。また、リモート会議の増加にも対応してWEBブースを設置したことで、業務内容に応じて集中と交流を自在に切り替えられるようになりました。コロナ禍を契機に働き方が多様化した今、当社にとってオフィスは、単なる"仕事場"ではなく、人と人がつながり"新たな価値を生み出す場"へと進化しつつあります。
■人が育ち、つながるオフィスへ■
前オフィスは、増設を重ねてきた経緯から、動線やスペース効率の面で課題を抱えていました。新オフィスでは、社員同士の顔が見える空間設計を重視し、自然とコミュニケーションが生まれるレイアウトを採用しています。
若い社員が多い当社では、入社初期からリモート環境のみで働くことによる弊害にも留意してきました。
出社を通じて先輩社員の姿勢や考え方に触れ、人としても成長できる環境を整えることを大切にしています。だからこそ、冒頭でお話しした「社員が出社したくなるオフィスでありたい」という思いに行き着くのです。
オフィス開きの際にはお披露目イベントを開催し、社員のご家族も招待しました。子ども向けのクイズ企画などもおこない大変好評でした。家族が会社の雰囲気を感じることで自然な対話が生まれ、社員自身が自らの仕事や職場に誇りを持てるようになる。そんなきっかけになればと考えています。新オフィスは働く喜びと誇りを育む「人の成長の場」として、これからのBSCを力強く支えていく拠点です。