オフィス探訪 オフィス探訪

オフィス探訪

2024年、SI&Cは経営の再構築を見据えたTOB(株式公開買付)により上場を廃止し、次のステージへ向けて新たな一歩を踏み出しました。同年7月には、企業の存在意義をより明確に伝えるべく、長年親しまれてきた「株式会社システム情報」から「株式会社SI&C」へと社名を刷新。その一連の変革を象徴するように、2025年2月には本社機能を中央区勝どきから港区浜松町の世界貿易センタービルディング南館へと移転。オフィス空間から働き方、事業の在り方に至るまで「第三の創業期」と呼ぶにふさわしい変革を次々と進めています。
新オフィスが位置する浜松町は、羽田空港や都心主要駅ともダイレクトにつながる、いま最も注目を集める再開発エリアの1つ。「日本と世界をつなぐ"一歩目"に」というこのエリアのコンセプトは、まさに、トータルITサービスのプロフェッショナルとして新たなステージへ挑むSI&Cの姿と重なります。今回は、そんなSI&Cの変革の裏側と、オフィス移転に込められた想いについて、Corporate Management Group・Group Sub Leaderの嵯峨透氏にお話を伺いました。

Entrance 『ブランドの世界観を体感できるエントランス』

エントランスはお客さまを最初にお迎えする場所であり、企業のブランディングを印象づける重要な空間です。SI&Cのエントランスは、人の感覚を刺激してブランドの世界観を体感できるような工夫を凝らしていました。
エントランスに足を踏み入れると、爽やかな柑橘系のアロマが香ります。次に目に飛び込んでくるのは、中央に堂々と配置されたSI&Cのロゴモニュメント。その存在感が強いインパクトを与え、訪れた方の期待感を高めます。さらに、ロゴモニュメントの背景に設置された大型ビジョンではMVV(Mission・Vision・Value)動画や会社紹介映像が鑑賞でき、視覚と聴覚を通じて、SI&Cの理念や将来のビジョンに触れることができます。このように、香り・映像・空間演出を組み合わせることで、目・耳・鼻すべてでSI&Cを感じてもらえるよう印象深いエントランスを目指したそうです。

WORK space 『働きやすさを追求したオフィスづくり』

ITエンジニアの不足が過去最高と言われる中、SI&Cの社員数は急増しています。働き方も変化しており、出社とリモートの比率はおよそfifty-fifty。とはいえ、実際には、直接顔を合わせた方が効率的に進む業務も多く、オフィスでの作業環境の充実が求められています。
そうした背景から、SI&Cでは「働きやすさ」を最優先に考えたオフィスづくりに取り組みました。ワークスペースのレイアウトは、社員一人ひとりの自主性を高めるとともに、生産性の向上や部門を越えたコミュニケーションの活性化を目的としています。
具体的には、フリーアドレスを導入し、社員が自分に合った場所で自由に働ける仕組みを整備。開放的かつ広大なワークスペースの中で新たなつながりや発想を生み出す場となっています。働き方に応じた多様な選択肢を提供することで快適で柔軟なワークスタイルの実現を目指しています。
さらに、オフィスは「採用ブランディング」の観点でも重要な要素です。事実、2025年度の採用において、Web面接時には入社を迷っていた学生が、最終面接でオフィスを訪れたことで志望マインドが高まり、入社を決めたケースも数多く見られたのだとか。オフィスの魅力が、採用活動にも確かな効果をもたらしています。

COLLABORATION space 『多目的に使えるオープンスペース』

ワークスペースに植栽を取り入れて、空間をさりげなく仕切る工夫を施されていました。これにより、部門の垣根を越えてコラボレーションしやすいエリアの創出を可能にしました。オープンスペースや共有エリアを設けることで、社員が自然と集まりやすくなり、インフォーマルな会話や議論を通じて新たなアイデアが生まれるきっかけとなっています。
このエリアは、フリーアドレスの一環で日常的な業務スペースとして活用できるほか、ランチタイムや休憩時にも自由に利用できる場所として機能しています。さらに、社内イベントの会場としても活用可能です。実際に全社イベントでは、このコラボレーションスペースをサテライト会場として使用し、大型プロジェクターによる上映や臨時カフェの設置などがおこなわれ、これ以降、部署を越えた社員同士の交流が生まれ、親睦を深める場としても活用されています。

CONFERENCE ROOM area 『多様な会議スペースで業務効率と創造性を向上』

新オフィスにおける大きな特長の一つが、用途や目的に応じて使い分けが可能な会議スペースの充実です。これにより、業務の効率性と創造性の向上が期待されています。
まず、執務エリア外には、主にお客さまとの打ち合わせに使用されるクローズドタイプの会議室が10室設置されています。それぞれに「Mission」「Vision」「Value」など、経営の理念を象徴するペットネームが付けられ、場の雰囲気づくりにも配慮されています。中には最大60名収容の大会議室なども設けられており、会議のみならず研修などにも利用されています。また、将来の計画や重要な戦略立案のため、参加者の視線が交わるよう机の配置を工夫した会議室も用意されていました。
一方、執務エリア内には、完全オープンタイプのミーティングテーブル2卓と、「粘り強くやり抜く力」を意味するペットネームを持つ会議室「GRIT」が4室設けられています。カジュアルな打ち合わせからプレゼンテーション、機密性の高い会議まで幅広く対応できる柔軟な環境が整っています。

PERSONAL booth 『集中環境がもたらす安心感と生産性』

フリーアドレスを導入するにあたっては、個人用ブースの設置が欠かせません。フリーアドレスは、業務内容に応じて自由に席を選べる柔軟な働き方を可能にし、部署間のコミュニケーションを促進するとともに、スペースの有効活用にも寄与します。
しかしその一方で、「集中しづらい」「周囲の音が気になる」「視線が気になる」といった課題も生じやすく、特にオンライン会議では、静かで区切られた環境が必要不可欠です。
また、自分のペースで落ち着いて業務に取り組める空間の存在は、仕事の効率を高めるだけでなく、心理的な安心感にもつながります。
これらの理由から、フリーアドレスの効果を最大限に引き出すためには、個人用ブースのような集中できるスペースの整備が重要です。SI&Cでは、オフィス移転に際してこれらのニーズに応えるために4つの個人用ブースを設置しました。

REFRESH corner 『オフィス環境に彩りを添える"景観"』

オフィスを選ぶうえで、快適に働く環境は非常に重要です。中でも「景観」は、視覚的なリフレッシュ効果をもたらし、仕事の生産性向上にも貢献する要素として注目されています。
たとえば、SI&Cのような高層のオフィスビルから見える都市のパノラマや、自然に囲まれたエリアの開放的な風景は、働く人の気持ちを和らげ、日々の業務にポジティブな影響を与えます。こうした"景観効果"は、従業員の満足度向上に寄与するばかりでなく、企業イメージを形成する重要な要素の1つにもなっています。
世界貿易センタービルディング南館では、各フロアに東京湾や旧芝離宮恩賜庭園を望む開放感あふれるリフレッシュコーナーが設けられており、多忙なビジネスワーカーにとって心休まる魅力的な環境が整っています。

イノベーションをここから。働き方と未来を変えるオフィス移転の舞台裏 株式会社SI&C Corporate Management Group・Group Sub Leader嵯峨透さま

新オフィス移転の背景と想い

SI&Cが新たなオフィスへと移転するに至った理由は、物理的な場所を変えるということに止まりません。当社は今、『第三の創業期』ともいえる大きな節目を迎えています。これを機に、「新たなスタートを象徴する新天地から、未来へ向けた挑戦を始めたい」という機運が高まっていました。
旧オフィスのあった勝どきは、長年にわたり親しみを持ってきた場所です。しかし、組織が3つのフロアに分断されており、部門間の交流や情報共有がしづらいという課題があり、 "部門を超えた連携"が自然と生まれるような環境が必要だと感じていました。
また、これまで当社は、主に大手開発企業のパートナーとしてBtoB領域でシステムインテグレーターの役割を担ってきましたが、今後さらなる成長を実現するには、エンドユーザーに対して直接価値を届けるソリューションインテグレーターへと進化する必要があります。それには、サービスのあり方だけでなく、会社全体の仕組みや文化にも大きな変革が求められます。新オフィスへの移転は、まさにこの変革の第一歩であり、お客さまの期待を超える価値を生み出して、イノベーションを加速させる「場」となることを目指しています。

オフィス選定における人間中心の視点

とはいえ、私たちが求めているのは、単に「場を新しくする」ことではありません。働くのはあくまで生身の人間です。生活リズムや日常の習慣を大きく変えることなく、スムーズに新しい環境に移行できることも非常に重要だと考えました。
現状、一部の開発チームは引き続き勝どきに拠点を置いています。また、長く勝どきを拠点としていたため、勝どきへのアクセスを前提に住まいを設けている社員もいるため、新オフィスの立地選定においては、「勝どきから離れすぎないこと」も大きな条件でした。そのため、移転先候補として検討したのは、浜松町から田町、虎ノ門、汐留といった、勝どきからのアクセスが良好なエリアに限定。最終的には、20近くの物件を内見しながら選定を進めました。
このように、社員の通勤利便性や生活の継続性といった"ヒューマンライク"な視点も大切にしながら、同時にお客さまのアクセスのしやすさという観点も加味して「最適な立地」と判断したのが『世界貿易センタービルディング南館』です。
駅直結で天候に左右されずに通勤でき、山手線沿線でアクセス性も抜群。さらに、ワンフロアで全体を見渡せる広々とした空間が確保できること。そして、浜松町は今後さらにビジネス拠点として発展が期待されるエリアです。まさに第三の創業期を迎えたSI&Cにとって、共に成長していける最適な場所だと確信しています。

パフォーマンスを最大化するオフィス設計

部門間の垣根を越え、互いの知見が交差しやすくなることが、私たちが目指す「新しい価値創造」へとつながると考えています。新オフィスでは、社員同士が自然に情報交換したり、リフレッシュすることで生まれる斬新な発想を導くような空間設計をおこないました。
オフィスデザインは、「敷居の低さ」と「親しみやすさ」を意識して、極力パーティションを減らし、窓に向かって空間を開放。天井を抜かず、一時的なトレンドに流されない落ち着いたシックなデザインを採用することで、都会的で洗練された雰囲気と、弊社の歴史や文化にふさわしい品格を表現しました。
今回のオフィス移転は、単なる「場所の変更」ではなく、会社の在り方そのものを抜本的に見直して、新たな未来に向かって飛躍するための挑戦です。社員一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮しながら、お客さまにとっても社会にとっても「価値ある存在」であり続けるために、この新たな環境でSI&Cはさらなるイノベーションと進化を目指していきます。
株式会社SI&C https://www.siac.co.jp/
東京都港区浜松町2-4-1 世界貿易センタービルディング南館 24階
オフィスを借りたい・移転したい インターネットで簡単検索 www.miki-shoji.co.jp
■記事公開日:2025/06/24 ■記事取材日: 2025/05/28 *記事内容は取材当日の情報です
▼構成=編集部 ▼文=編集部ライター・吉村高廣 ▼撮影=田尻光久

過去の記事

オフィス探訪
〈27〉
壁のないオフィスが、壁のない組織をつくる QUADRAC株式会社のオフィス QUADRAC株式会社は、公共交通向け決済・認証プラットフォームを... 2025.12.01更新
ビジネスマンのメンタルヘルス
〈32〉
Z世代の気持ちを読み取るヒント 価値観やものの考え方は、時代の移り変わり... 2025.11.25更新
若手のための
“自己キャリア”〈26〉
〈26〉
声の大きな人は出世する? ビジネスキャリアを左右する話しかた 「声の... 2025.11.25更新
駅チカビル
〈29〉
うめきた2期で進む高品質オフィス集積 関西No.1のビジネス立地へ 梅田駅周辺では広域的な再開発が進み「大阪の玄関口」と... 2025.11.25更新
Officeオブジェクション
〈26〉
非固定化するオフィスに残る"固定"とは 企業における働き方の革新は、もはや制度の... 2025.10.28更新
ワークスタイル・ラボ
〈22〉
ワークライフバランス再考 日本を変える、会社を変える、これからの働き方 「ワークライフバランスを捨てます」。何かと.. 2025.10.28更新
オフィス探訪
〈26〉
100年の歩みを、未来の原動力につなげる 東洋電信電話工業株式会社のオフィス 今年、創業100周年を迎えた東洋電信電話工業株式会社(TDD)は... 2025.10.28更新
ビジネスマンのメンタルヘルス
〈31〉
感情を逆なでせず、若手世代を味方にする① 入社したばかりの新入社員が、1年を待たずに... 2025.09.26更新
オフィス探訪
〈25〉
好立地を生かした共創の場へ 株式会社アイシン東京事務所 株式会社アイシンは、1965年の創立以来、モビリティの進化とともに... 2025.09.26更新
リアル・ビジネス
英会話〈35〉
〈35〉
How was your weekend? スモールトークの壁 海外赴任を経験した人の多くは、「会議や商談よりも... 2025.09.26更新
若手のための
“自己キャリア”〈25〉
〈25〉
学び続けるチカラ かつては、就職した会社で得た知識や... 2025.08.27更新
Officeオブジェクション
〈25〉
2030年、オフィスからデスクトップPCが消える? これまでオフィスの机上を占領していたデスクトップPC。近年は... 2025.08.27更新
文字サイズ