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企業見聞

日本全薬工業株式会社(ゼノアック)

福島県郡山市 / 動物用医薬品の開発・製造・輸入・販売
http://www.zenoaq.jp/

激化する動物医薬品業界のビジネス環境

日本国内の動物用医薬品やペットフード、餌の添加剤の生産や販売などに携わる企業は約80社。その年間の売り上げは概ね1000億円。ただし上位10社ほどでそのうちの80%ほどを売上げているのが現状だ(平成22年度)。これに加えて、近年は外国資本の企業が市場参入してきておりシェア獲得の競争は激化している。そんな中、日本全薬工業は「ゼノアック」というブランドを持ち、独自性を発揮する企業である。その経営スタンスが評価され、2012年、東北地方で初めての日本経営品質「経営革新推進賞」を受賞した。
激化する動物医薬品業界のビジネス環境

独自性を出すには、顧客ニーズを肌感覚で知ること

「お客さまにとって本当に価値ある製品を提供する」これが日本全薬工業の最大理念である。そのためには優れた製品開発力が欠かせない。また、お客さまにより近い販売システムの構築も重要である。日本全薬工業ではお客さまへの直販システムを導入し、営業担当がお客さまのニーズを直接吸い上げて製品開発に活かしている。メーカーはお客さまが本当に欲しているものを「肌感覚」で分からなければ、説得力のある商品開発はできない。そのためには「社員の意識の共有と成長が欠かせない」と高野恵一社長は言う。
独自性を出すには、顧客ニーズを肌感覚で知ること

マンパワーを最大限に活かす、「プロ」認定制度

お客さまに満足していただくためには、社員一人ひとりがプロフェッショナルでなくてはならない。これが日本全薬工業の経営ボトムとなっている。そのための人材育成制度も極めてユニークだ。独自に「プロフェッショナル資格制度」を設けており、この試験に合格できないと社内において「仕事のプロ」と認められない。資格制度をつくった背景には、マンパワーを最大限に活かす配慮がある。営業センスは抜群にあるが、マネジメントには向いていないという人がいる。現在の日本企業では、なかなかそうした人が評価されない傾向があるが、会社にとっては両方とも大事な存在であることは間違いない。そこでこうした資格制度を設けてマネジメント能力とは違った側面から社員を評価しようというのがこの試みだ。
マンパワーを最大限に活かす、「プロ」認定制度イメージ

「プロ」の肩書を与えることで、自律的成長を促す

ただしこれは永久資格ではない。2年に1度試験があり、試験に合格しなければ資格を剥奪されることになる。加えて資格内には3つのグレードがあり、それによって給与も変わってくるという。
もちろんプロの肩書きは名刺にも刷り込まれ、営業はこれを持って仕事をする。つまり、この資格制度の目的は、業務能力の向上や査定もさることながら、お客さまに対して「自分はプロである」と一度宣言した以上、恥ずかしくない振る舞いをし、そこからさらに自律的に成長できるよう学び続けるための人材育成カリキュラムでもあるのだ。現在は営業部門のほか、研究開発や製造、物流、総務など全部門にその制度の適用が行われている。
「プロ」の肩書を与えることで、自律的成長を促す

経営品質向上プログラムを通して、改善活動を客観視する

現在、日本全薬工業では「2015プラン」を掲げ、会社のあるべき姿の実現に向けて更なる改善活動を進めている。その最大目標はグローバルなビジネス展開だ。ある目標に向かって進むときは、何をすべきかという方向付けが大事である。ただそれは経営陣が仕入れてきた改善ツールを、社員に強制していたのでは長続きしない。目標のために一人ひとりが価値感を共有して、自ら、何のためにどうやるかを考え、納得して実行しなくては持続的に改善活動を行うことができない。「経営品質をやって、そこが確認できた」と高野社長は言う。経営品質は「こうすれば良くなる」という答えを出してくれるものではない。現在会社が実行している改善活動を客観的にチェックできること、それが経営品質向上プログラムの良さであると。
経営品質向上プログラムを通して、改善活動を客観視する

「ありがとう」が復活へのキーワード

社員一人ひとりが考えながら「こうしていこう」という1つのチームとしての団結力、いわゆる組織力が大きく向上したことを、震災後実感したと高野社長は言う。

「ありがとう」が復活へのキーワード 「ありがとう」が復活へのキーワード
地震の影響で本社社屋は半壊し、倉庫内で荷物が崩れたものを社員全員で1週間かけて整理し直した。もちろん社員の自宅も大変な状況であることに変わりはなかった。水は出ないし電気は来ないという状況だ。その時に高野社長はこう社員に話しかけた。「大変だけれど、お客さまに迷惑をかけてはいけない。お客さまは私たちの製品を待っているんだ」と。ここから社員たちはより一層団結した。すると、お客さまから、「大変なところをありがとう」という言葉がたくさん届いた。そのひと言で、社員はまた一層元気になった。お客さまからの「ありがとう」と、お客さまへの「ありがとう」。この「ありがとう」こそが、日本全薬工業の復活のキーワードだったと言う。
日本経営品質賞とは
日本経営品質賞は、日本企業が国際的に競争力のある経営構造へ質的転換をはかるため、顧客の視点から経営を見直し、自己革新を通じて顧客の求める価値を創造し続ける組織の表彰を目的として、(財)日本生産性本部が1995年12月に創設した表彰制度です。(日本経営品質賞HP http://www.jqaward.org/
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■記事公開日:2013/03/25
▼編集部=構成 ▼編集部ライター・吉村高廣=文 ▼渡部恒雄=撮影 ▼写真・資料提供=日本全薬工業株式会社

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