大阪日野自動車株式会社は、大阪府を主要エリアとして日野ブランドのトラックやバスの販売、各種部品の供給、きめ細やかな車両修理・アフターサービスなど、地域の物流や交通を支えるトータルサポート事業を展開してきました。同社は2026年6月、経営合理化策の一環として管理体制を見直し、より効率的で迅速なビジネス推進を実現する拠点として、長年親しまれた西淀川区から大阪市西区の『西本町インテス』へ本社を移転しました。今回の移転には、組織のさらなる最適化と業務効率の向上を図り、これまで以上にお客さまへ質の高いサービスと満足を提供していくという同社の決意が込められています。

オフィスを刷新することから、会社を変えていく。
大阪日野自動車株式会社 代表取締役社長 七海吉彦さま 管理本部本部長 松倉信之さま
老朽化対策と従業員満足
移転前の本社は1969年竣工で、整備工場に業務棟が隣接する構造でした。築55年を超え、老朽化が進んでいたことが移転を検討する大きなきっかけです。また、会社を取り巻く環境変化も移転理由のひとつです。これまでは右肩上がりの拡大路線を歩んできましたが、近年はトラックの販売台数も従来と同じようには伸びておらず、支店の体制を含めて会社のあり方そのものを見直す時期に差しかかっていたのです。
もうひとつ重視したのが従業員満足です。お客様第一はもちろんですが、それと同じくらい、社員が気持ちよく働ける環境も重要です。旧本社は耐震面への不安があり、冬は寒く、夏は暑い。それでも社員たちは「仕方がない」と受け入れていました。さらに、部署ごとに建物や階が分かれており、顔を合わせることもない。今回の移転は、こうした環境そのものを見直すことを目指しました。
"昭和的な事務所"からの脱却
移転先の選定では、通勤のしやすさや支店との距離を考慮して、旧本社から大きく交通環境を変えないことを意識しました。一方、オフィスのあり方は思い切って見直しています。旧オフィスは、全員が同じ方向を向いて働く昔ながらのスタイル。大きな机や脇机、積み上げられた書類、足元の個人ごとのゴミ箱など、いわゆる「昭和の事務所」といえる環境でした。
新オフィスではフリーアドレスまでは踏み込まず、一人あたりのスペースをこれまでよりコンパクトにしています。PCを置くと手元がすっきり収まるミニマムな設計にすることで、社員自身に「本当に必要なものは何か」を考え、モノを減らすきっかけにしてもらうのが狙いです。
移転当初は不満の声もありましたが、一定の制約があるからこそ、ペーパーレス化への意識が高まります。まずはこの一歩からスタートし、今後はより効率的で洗練されたオフィス環境を目指します。
物件選びの決め手となった「建物の余裕」
ビル選びでは、従業員満足を意識したロケーションに加え、建物のつくりやメンテナンス体制にも注目しました。複数の物件を内覧して感じたのは、規模や立地が似ていても、オーナーの考え方によって建物には大きな違いがあるということです。
今回選んだビルは、もともとは貸しビルとして建てられたものではないため、エレベーターの台数や共用スペースなどにゆとりがあります。象徴的なのがビル最上階の18階です。フロアの半分がレストラン、残り半分が会議室となっており、テナントは予約して利用できます。小規模な会議室3室に加え、100人規模を収容できる大会議室も備えています。複数の支店を持つ弊社にとって、社員が集まる機会は少なくありません。しかし、自社オフィスに大きな会議室を設けても、普段は使われないスペースになります。「必要なときに使える会議室がビル内にある」という合理性は、物件選びの大きな決め手となりました。
オフィス移転がもたらした変化
今回の移転で大きな変化の一つが、本社機能のワンフロア化です。以前は部署ごとに階が分かれていたため、誰がどこにいるか、出社しているのかさえ分からないことがありました。現在は顔が見え、声も聞こえるため、相談があればすぐに相手のもとへ行けます。情報を共有しながら組織を動かすうえで、その効果を日々実感しています。
また、社員の意識にも変化が表れています。以前は「整理整頓」を掲げても、器(オフィス)が昭和のままでは掛け声だけで終わってしまい、「まだ置けるからいい」という空気がありました。それが、机や什器を一新した新オフィスでは、「この状態を維持しよう」という呼びかけへの反応が明らかに違い、「きれいな環境を保つには一人ひとりの工夫が必要だ」という意識も共有されつつあります。
新オフィスへの移転後、社員の意識も変わりました。自社を誇りに思い「この場所にふさわしい仕事をしよう」という前向きな意識の変化も生まれたように感じます。こうした好影響は、今後の採用活動にもプラスに働くと期待しています。
今回の移転の真の目的は、単に"古い器"の刷新ではなく、働く環境やコミュニケーション、そして社員の意識そのものを変革することにありました。移転からまだ2か月。すべてが変わったわけではありませんが、オフィスを変えたことで、会社を大きく変革していくための確かな一歩を踏み出せたと確信しています

執務エリア
ワンフロアに集約した執務エリアは、遮る柱もなく全体を見渡せる"顔が見えるオフィス"です。以前はフロアが分かれていたことで、部署間のコミュニケーションが希薄になりがちでしたが、現在は互いの顔が見える環境となり、自然な会話も生まれやすくなりました。業務効率の向上に加え、社員同士の距離が縮まるなど、実務面・心理面の双方で効果を感じているそうです。
リラクゼーションスペース
オフィスづくりで特にこだわったのが、全体の約5分の1を占めるゆとりあるリラクゼーションスペースです。以前は、弁当を持参した社員も自席で昼食をとることが多かったそうですが、現在はこのスペースに集まって食事をする姿が見られるようになりました。仕事と休息を切り替える場としてはもちろん、ちょっとした打ち合わせや休憩にも利用できる、多目的なコミュニケーションスペースとなっています。
エントランス
エントランスは、エレベーターを降りた正面に配置。来訪者を最初に迎える場所だからこそ、「日野ブランド」を印象づける空間としてデザインにもこだわっています。また、ファミレス席を設け、気軽な打ち合わせにも対応。会議室の数が限られるなか、短時間の打ち合わせや社員同士の相談など、日常的なコミュニケーションの場としてもさまざまな用途に活用されています。
WEBブース・休養スペース
オンラインでの打ち合わせに対応するためWEBブースを設置しています。業務の性質上、現在も対面でのやり取りが中心ですが、急速に進むデジタル化を見据え、オンラインでの業務環境も整えています。また、ブースの隣には、体調不良時などに社員が横になって休める「休養スペース」も設置。WEB会議にも対応可能な機材を備え、必要に応じて利用できるようになっています。