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ワークスタイル・ラボ

デュアルライフとは、都市と地方、あるいは本拠地と別拠点といった2つの生活拠点を行き来しながら仕事をする新しい働き方のことを言います。都市の利便性と地方の豊かな自然環境を両方享受できるこのライフスタイルは、テレワークや柔軟な勤務制度の普及によって実現可能となり、自分が求めていた暮らしぶりを具現化しようという人々の間で注目を集めています。
たとえば、東京と軽井沢といった「都市×リゾート地」の組み合わせだけでなく、東京と札幌のような「都市×都市」や、国内と海外を拠点とするケースまで、そのスタイルはさまざま。インターネットの進化によって場所にとらわれずに仕事ができるようになった今、デュアルライフは仕事と生活のバランスを見つめなおす1つの選択肢となっているのです。
すでに実践しているデュアルライフワーカーは、「生活が豊かになり、明らかに人生の満足度が上昇している」と言います。そこで今回は、今後確実に増え行くであろう「デュアルライフ」に焦点を当てました。

デュアルライフの理想と現実 始める前に考えるべきこと

デュアルライフを始めるにあたっては、理想と現実のギャップに直面することもあるため、さまざまな課題に備えておく必要があります。最も大きなハードルとなるのが、費用面の負担です。2拠点分の家賃や光熱費、加えて家具や家電を購入する必要があり、普通に考えれば生活コストは2倍になります。そのほかにも、安定した通信環境の整備や、自治体の制度や補助金(移住のみならず2拠点生活を支援する自治体が増えています)などについての事前調査も欠かせません。
また、地域との関係づくりにも配慮が求められます。地方によっては、地域の行事や活動への参加が求められることもあります。それを負担と感じるか否かは人それぞれですが、信頼関係を築く努力は避けて通れません。
そして、パートナーや子どもがいる場合は、それぞれの毎日にどのような影響を与えるかを見極めることが必要です。とくに子育てや介護の課題が絡むと、円滑に2拠点生活を進めるには家族の理解と協力が不可欠です。
こうした課題に対応するためには、十分なリサーチと計画が欠かせません。まずは「お試しデュアルライフ」で短期滞在を体験するなどして、無理のないライフスタイルを見つけることが成功の鍵になります。

住まいのサブスクで、デュアルライフがもっと身近に

「デュアルライフには興味があるけれど、現実的には不可能」と、多くの人に思わせていた最大の理由が、先にも記した「2拠点分の費用負担」でした。結果、「デュアルライフ」などと聞こえは良いものの、それは「お金持ちが楽しむライフスタイル」というイメージが定着していました。ところが、近年登場した"住まいのサブスクリプション・サービス"が、そんな常識を大きく変えつつあります。
月定額で複数の住まいを自由に選べる(例えば東京と軽井沢)住まいのサブスクは、2拠点分の家賃を個別に払う必要がなく、敷金・礼金・仲介手数料も不要の場合が珍しくありません。また、ほとんどの物件は家具や家電がデフォルトされているため初期費用が軽減できます。
さらに、ワークスペースや高速Wi-Fiが完備された物件も多く、仕事と生活を両立しながら、2拠点を自由に行き来するデュアルライフを無理なく始めることができます。
物件のタイプも、都市部からリゾート地まで多彩な地域に対応しており、一人暮らし向けのコンパクトな部屋から、家族で使える広めの住居、さらには古民家やログハウスなど、あらゆるライフスタイルや目的に応じた選択肢が充実しています。

自分らしい働き方と暮らし方を、見つめ直し再構築する

デュアルライフの魅力は、自分にとって心地よい働き方と暮らし方を無理なく再構築する点にあります。かねてより注目されてきた、「半農半Ⅹ」というライフスタイル(自分や家族が食べる分の食料は小さな自給農でまかない、残りの時間「X」は、自分の本業に費やすという生活)なども、デュアルライフの普及によって、身近な選択肢になりつつあるのが実情です。
都市における生活では、あらゆる面でスピードと効率が求められますが、地方には自然に囲まれた落ち着いた時間の流れがあり、自分の感覚や思考をじっくり育て直せる環境があります。
仕事をするにしても、都市では打ち合わせや対面業務をおこない、地方ではそれに基づいた企画立案など集中力を要する作業などに使い分けることで、生産性や創造性の高まりが期待できます。
デュアルライフは、「どう働き、どう暮らし、どう生きるか」という問いに向き合い「選択の自由を得る」ことこそがその核心にあります。場所にとらわれずに働くライフスタイルが実現可能なものになった今、「本当に心地よい環境とはどんなものか」を見つめ直すこと。それがデュアルライフの醍醐味なのです。
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■記事公開日:2025/07/29
▼構成=編集部 ▼文=吉村高廣 ▼画像素材=Adobe Stock ▼協力:高橋宏之(デュアルライフワーカー横浜-岡山)

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