AIをはじめとするテクノロジーの進化や、少子高齢化に伴う労働人口の減少により、働く環境は大きく変化しています。一つの会社でコアキャリアを築きながらも、社内外のプロジェクトや多様な業務を通じて多角的に経験を積む、柔軟な協働スタイルも広がりを見せてきました。また、今後は働く場所や時間よりも成果が重視されるため、AIに任せられる仕事と、人間だからこそ担える役割を見極める視点も不可欠です。すべての人が同じ働き方を目指すのではなく、自分が大切にしたいことや、これから伸ばしたい力を考えることが、将来の選択肢を広げることになります。自分らしく働き、キャリアを築くために、いま改めて自身の価値観やスキルを見つめ直すことが求められています。
キャリアは会社に委ねず自分で描く
これからは、会社に自分の将来を委ねるのではなく、経験や能力を軸に将来を考える視点が大切になりそうです。また今後は企業のほうも、必要な専門性を持つ人材を社内外から集め、プロジェクト単位でチームを編成する動きが広がる可能性があり、個人の専門性を複数の場(プロジェクトや社外活動など)で発揮するワークスタイルも、今以上に広がっていくでしょう。
もちろん、誰もが複数の仕事を持つ必要はありません。これからのキャリア形成において大切なのは、組織のなかで経験を積みながら、自分には何ができ、どのような場面で力を発揮できるのかを把握しておくこと。そのためにはまず、これまでの仕事で得た経験や成果を振り返り、自分の強みを整理することです。さらに、現在の仕事に関連する知識を学んだり、新たな役割に挑戦することで、活躍の幅を広げられるかもしれません。経験を土台にできることを少しずつ増やす姿勢が、将来の選択肢につながります。
場所や時間にとらわれず成果を生み出す
通信環境やオンラインツールの発達によって、オフィスだけでなく、自宅や外出先などでも仕事を進めやすくなりました。今後も、対面での協働とリモートワークを組み合わせる働き方が広がっていくと考えられます。こうした環境では、働いた時間より成果が重視されるはずです。そのためには、仕事の目的や目標を明確にし、優先順位をつけて取り組むことが大切です。離れた相手と協働するためには、考えを簡潔に伝え、進捗や課題を共有する力も欠かせません。
一方、自由度が高まるほど、自分自身で仕事と休息のバランスを取る工夫も必要です。集中できる時間帯を把握して、進捗や体調を自己管理する。状況が見えにくいからこそ意識的に連絡を取り、必要なときには周囲に助けを求めることも重要です。
AIと協働して人間ならではの力を磨く
AIの活用によって、資料作成や情報収集、データ整理などを効率化できる場面が増えています。時間のかかる作業をAIに任せられれば、人はより付加価値の高い仕事に力を注げます。AIを脅威と捉えるだけでなく、自分の能力を補い、仕事の質を高めるパートナーとして活用する視点が大切です。
同時に、相手の気持ちをくみ取る力や信頼関係を築く力、正解のない課題から新たな問いやアイデアを生み出す力も重要になります。AIが提示した情報をそのまま受け入れるのではなく、何が本質的な課題なのかを考えて、状況に応じて判断するのも人間の大事な役割です。新しい技術や知識を学び、自分に足りない力を振り返る習慣を持ち、常に自分をアップグレードさせることが肝心です。自分が何を大切にして、どのように働きたいかを考えながら、強みや選択肢を少しずつ増やしていく。その積み重ねが、変化のなかで自分らしく働くための土台になるのではないでしょうか。

■記事公開日:2026/10/27
▼構成=編集部 ▼文=吉村高廣 ▼画像素材=PIXTA